・通院介助には大きな制約が存在
・通院介助は「居宅において行う外出先(病院等)へ行くための準備行為を含む一連のサービス行為」でなくてはならない
・介護保険から支払われる報酬は、病院までの移送に対する費用ではないため算定できない
・介護保険の通院介助とは
要介護者である利用者に対して、
通院等のため(※)、指定訪問介護事業所の訪問介護員等が、自らの運転する車両への乗車又は降車の介助を行うとともに、
併せて、乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又は通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助をいう。
(※)「通院等のため」に含まれる外出とは、
「日常生活上・社会生活上必要な行為」である外出は「通院等のため」の外出に含まれる。
① 対象となるケース(真に必要と認められ居宅サービス計画上位置付けられる場合のみ)
通院、日常生活に必要な買い物、預金の引き下ろし、選挙
② 対象とならないケース
仕事、趣味や嗜好のための利用(習い事、ドライブ、旅行等)、理美容、冠婚葬祭、日用品以外の買い物(通常利用している生活圏外の店舗での買い物)、転院の際の利用等
これには、 「乗車前介助」及び「降車後介助」も含めて「通院介助」となります。
(注)「乗車前介助」及び「降車後介助」とは:乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して行われる外出に直接関連する身体介護のこと。
要するに、ベッドからの起き上がり、着替え、屋内移動等の一連の動作全てを含みます。
通院介助は一見、屋外で行われる介助行為と見られがちです。その場合居宅サービスとしては算定できないはずです。
では、なぜ通院介助は居宅サービスとして算定可能なのでしょうか?
・訪問介護で算定できる理由
通院・外出介助は、居宅以外の場所(外出先や外出途中)だけでは居宅サービスとして認められません。
通院介助が居宅サービスとして認められるのは、居宅において行う外出先(病院等)へ行くための準備行為を含む一連のサービス行為と見なし得るためです。
もし仮に、通院のための準備(着替え・移動等の外出準備)を家族や地域ボランティアが行った場合、ヘルパーの介助は居宅外の乗降介助から始まることになります。
これでは居宅内のサービスが行われていないため、訪問介護として介護報酬を算定する事ができない、ということになります。
それ以前に、着替えや居宅内移動を家族で介助できるのに、ヘルパーによる訪問介護が必要なのか?という疑義を持たれてしまいます。
訪問介護における通院介助は以下の一連の行為が一のものとして捉えられています。
この流れ全体にしっかりと当てはまらない介助行為は介護報酬の算定外とされてしまいます。
声かけ・説明→
目的地(病院等)に行くための準備→
バス等の交通機関への乗降→
気分の確認→
受診等の手続き→
(場合により院内の移動等の介助)
・交通費が実費である理由
タクシー等の交通機関を利用した場合、その運賃は基本的に全額自己負担となります。
これは、介護保険から支払われる報酬は、ヘルパーが通院のために必要な介助を行ったことに対する報酬であり、病院までの移送に対する費用ではないため、とされています
※介護保険タクシーを利用する (介護タクシー 介護保険)
介護タクシーの中に介護保険が適用できる「介護保険タクシー」というものがあります。
これは、上記とは異なり運賃も介護保険の適用を受けることが出来ます。
なぜ介護保険適用なのか?というと、
基本的な業務の範囲が「ベッド TO ベッド」であるからです。
前述した訪問介護の通院介助の流れである、
声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への乗降→気分の確認→受診等の手続き(→ (場合により)院内の移動等の介助)
この一連の行為が介護保険タクシーの乗務員によって行われるからです。
当然、乗務員はヘルパーの資格を有しています。