ここでは、介護保険におけるリハビリについて記述していきます。
・リハビリテーションの種類
リハビリには2種類あります。
1.訪問リハビリテーション
居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、その者の居宅において、 その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいう。(介護保険法第八条第5項)
2.通所リハビリテーション
居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、介護老人保健施設、病院、診療所その他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいう。(介護保険法第八条第8項)
簡単に説明すれば、
自宅でリハビリを行う⇒訪問リハ
施設へ出向きリハビリを行う⇒通所リハ
となります。
※これが「介護予防」を目的とした場合、それぞれ「介護予防訪問リハビリテーション」・「介護予防通所リハビリテーション」と名称が変わります。(対象は「要支援者」となります。)
・内容
理学療法……治療体操・運動、マッサージ、電気療法、温熱などの物理的手段によって、日常生活に必要な基本動作を行う能力回復をはかる療法。理学療法士(PT)が行います。
作業療法……仕事・遊び・休息など日常生活・行動と同様の動作を通じて、健康状態や社会適応力の回復をはかる療法。作業療法士(OT)が行います。
言語聴覚療法……言葉能力や聴覚能力の訓練のほか、嚥下障害の防止訓練などを行う療法。言語聴覚士(ST)が行います。
・訪問か?通所か?
リハビリには訪問か、通所かを選択できます。
これは利用者の現状を鑑みて決めていけばよいと思います。
長所
訪問リハ
・自宅という慣れ親しんだ環境で行うため、実生活に直結したリハビリが行える。
・精神的な負担が少なくてすむ。
・利用者のペースにあわせてリハビリが行える。
通所リハ
・施設で行われるため、他の利用者との交流が見込め、痴呆防止や引き篭りがちな状況を改善することも見込める。
・周辺機器設備が充実しており、多種多様な手法によるリハビリが行える。
・食事・入浴等のリハビリ以外のサービスも提供してもらえる。
短所
訪問リハ
・自宅で行うため他者との交流がない。
・設備が限定されるため、行える手法も限定される。
・リハビリ以外のサービスは提供されない
通所リハ
・施設で行うため、実生活に直結したリハビリだけを行うわけではなくなる。
・他の利用者もいるため、常に側にいてもらえるとは限らない
・通所する必要があるため、体力的な負担が大きい
訪問にしても通所にしても長所短所があります。利用者の心身の状態にあった方法をとることが求められます。
・補足
1.介護保険におけるリハビリテーションの位置づけ
リハビリは介護保険・医療保険のどちらにもあるサービスですが、国の考えとしては、
急性期・回復期は「医療保険によるリハビリ」を行い、維持期は「介護保険によるリハビリ」を行うこととされています。
ですので、基本的に同一の病状においては医療保険と介護保険のリハビリを両方受けることは出来ません。
ただし、これには例外的事項も存在しますので全く持って不可ということでもありません。
2.訪問リハビリと訪問看護7
a.訪問リハビリ
これは、病院・老人保健施設等の訪問リハビリ事業所からPT・OT・STが訪問しリハビリを行います。
b.訪問看護7
これは、訪問看護事業所からPT・OT・STが訪問しリハビリを行います。(介護報酬算定項目で訪問介護71・72に該当する項目)
※内容としては訪問リハ=訪問看護7なのですが、
「訪問リハ:介護保険」 「訪問看護7:医療保険」 となっており、扱いとしては別個のものとなっています。
また、この両者の扱いは各地域の歴史的な問題が関係しているので、扱いに関しては地方ごとにより異なります。