・福祉用具は軽度者(要支援1または2、要介護1)の場合、給付対象外となるものがある。
・ただし、一定の条件を満たす場合は、例外的に給付を認めてもらえる場合がある。
ここでは介護保険における福祉用具についてか記述していきます。
・福祉用具
福祉用具の概況については以下のページを参照してください。
平成18年4月に介護保険法が改正され、軽度者(要支援1または2、要介護1)について、その状態像から使用が想定しにくい種目(車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具等の8種目)は、保険給付の対象外となりました。
しかしながら、これら軽度者であっても状態によっては福祉用具の貸与が妥当であると客観的に判断できる場合もあります。
そこで、介護保険制度においては、軽度者であっても一定の条件を満たす方に対しては、例外的に介護保険サービスの下で福祉用具の貸与を認めることとなっています。
・例外給付
軽度者が例外的に福祉用具の貸与(給付)が受けられることを指します。
・例外給付の条件
基本的には厚生労働省が告示の「第23号告示第19号のイ」に示されており、これにより市町村が基本的に判断します。
しかし、これだけでは判断が難しいという理由から、主に直近の認定調査票の該当する事項の結果とを勘案して決定されることとなります。
・支給決定について
これは各市町村ごとにより決定までのプロセス(条件の優先度)が異なってきます。
認定調査票の結果を最優先とするところもありますし、「第23号告示第19号のイ」に記載されている基準を満たすかどうかを医師またはサービス担当者会議等により判断し、その結果を最優先事項とするかなど、決定権そのものが市町村に委ねられているため、全国で統一した基準はないと考えてよいと思います。
よって、居住する市町村への確認は必要だと思います。
念のため、判断基準となる「第23号告示第19号のイ」およびそれに関連する認定調査票の項目の調査結果を示しておきたいと思います。
・「第23号告示第19号のイ」と(認定調査票の関連項目)
(1) 車いす及び車いす付属品次のいずれかに該当する者
(一) 日常的に歩行が困難な者(『歩行について』の項目が「できない」)
(二) 日常生活範囲において移動の支援が特に必要と認められる者(※該 当調査項目なし)
(2) 特殊寝台及び特殊寝台付属品次のいずれかに該当する者
(一) 日常的に起きあがりが困難な者(『起き上がりについて』の項目が「できない」)
(二) 日常的に寝返りが困難な者(『寝返りについて』の項目が「できない」)
(3) 床ずれ防止用具及び体位変換器日常的に寝返りが困難な者(『寝返りについて』の項目が「できない」)
(4) 認知症老人徘徊感知機器次のいずれにも該当する者
(一) 意思の伝達、介護を行う者への反応、記憶又は理解に支障がある者(『意思の伝達について』の項目が「できない」以外等)
(二) 移動において全介助を必要としない者(『移動について』の項目が「全介助」以外)
(5) 移動用リフト(つり具の部分を除く。)
(一) 日常的に立ち上がりが困難な者(『立ち上がりについて』の項目が「できない」)
(二) 移乗が一部介助又は全介助を必要とする者(『移乗について』の項目が「一部介助」または「全介助」)
(三) 生活環境において段差の解消が必要と認められる者(※該当調査項目なし)
※ (※該当調査項目なし)については医師またはサービス担当者会議等により判断される。
・医師の医学的所見による判断
例外給付の申請において、医師の医学的所見が必要となる場合があります。
以下にその判断項目を記載しておきます。
1.疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、頻繁に「第23号告示第19号のイ」に該当する者(例:パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象等)
2.疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに「第23号告示第19号のイ」に該当することが確実に見込まれる者
3.疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等、医学的判断から「第23号告示第19号のイ」に該当すると判断できる者(例:ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)