・介護保険には介護サービスとほかに「地域支援事業」がある
・必須事業としては、「介護予防事業」・「包括的支援事業」があり、そのほか市町村独自に行う「任意事業」がある
・介護保険における地域支援事業
介護保険制度は「要介護者への各種介護サービス」・「重症化を防ぐための自立支援サービス」を行っていますが、
これら要支援者・要介護者とは別に「要介護(支援)認定を受けるような状態になることを未然に防ぐため、介護予防を推進し高齢者が地域において自立した生活を継続できる」ことを目的とした事業が行われています。
これは「地域支援事業」と呼ばれ、市町村ごとに独自の取り組みがなされています。
・主な事業内容
地域支援事業には主に、
1.介護予防事業
2.包括的支援事業(地域包括支援センターで実施)
3.任意事業
の3種類があります。
1.介護予防事業
・要支援、要介護になるおそれの高い人を対象とする介護予防事業(特定高齢者施策)
a.特定高齢者把握事業:市町村内のすべての高齢者について、加齢、疾病、環境の変化等を調査し、特定高齢者(要介護、要支援状態に移行するおそれのある虚弱な高齢者)の状況を把握します。
b.通所型介護予防事業:「運動機能向上」・「栄養改善」・「口腔機能向上」等に効果があると認められるプログラムを実施し、特定高齢者の介護予防ケアを行います。
c.訪問型介護予防事業:鬱・引篭り、認知症のおそれがある、またはその状態にあって、b.通所型介護予防事業の利用が困難な特定高齢者に対し、生活機能評価を実施して必要な相談・指導を行います。
d.介護予防特定高齢者施策評価事業: 市町村の介護保険事業計画で定められた目標値に照らし、事業効果、実施量・実施率、プロセス評価に対し達成状況を検証します。
・全高齢者を対象とする介護予防事業(一般高齢者施策)
a.介護予防普及啓発事業:介護予防の基本的知識を普及・啓発するための資料の作成・配布、講演会の開催など、介護予防に関する知識・情報の提供を行います。
b.地域介護予防活動支援事業:介護予防に関わる人材を育成する研修を行ったり、介護予防に関わる地域活動組織の育成・支援を行います。
c.介護予防一般高齢者施策評価事業:事業が適切かつ効果的に実施されたかどうかを、原則年度毎にその評価を行います。
2.包括的支援事業(地域包括支援センターで実施)
a.総合相談支援事業・権利擁護事業:高齢者が安心して生活を続けられるようにするため、介護保険サービスのみならず、地域の様々な社会資源を活用し関係機関のネットワークを活かしながら、多角的な援助を実施します。
b.包括的・継続的ケアマネジメント:各職種の連携による長期継続ケアの支援を通じて、個々の高齢者の状態変化に応じた適切なケアマネジメントの長期的な実施、ケアマネージャーのスキルアップ、ケアマネジメントの公正・中立性の確保が行われます。
c.介護予防ケアマネジメント:介護予防事業(特定高齢者施策)の対象者に対し、身体的・精神的・社会的機能維持・向上を図ることができるような介護予防ケアマネジメントを行います。
3.任意事業
市町村の独自の施策により行われるもの。その事業内容については、各市町村に委ねられています。
a.介護給付等費用適正化事業:提供されているサービスの必要性の検証、介護保険サービス利用促進に関する広報・啓発、不必要、不適切なサービス提供に対する改善・指導、連絡協議会の開催等
b.家族介護支援事業:適切な介護知識・技術の習得を目的とした講座の開催、地域における認知症高齢者の見守り・支援体制づくりのための事業の実施
c.その他:成年後見制度利用支援事業、福祉用具・住宅改修支援事業、地域自立生活支援事業